なにごとも裏話や秘話を知ると、ものごとの本質がみえる? 工務店コンサルのつぶやき
今は亡き大瀧詠一さんの「君は天然色」という曲をご存知ですか?
大瀧詠一さんと言えば山下達郎さんを世に送り出したことで有名ですが、
「君は天然色」は大瀧さんの昭和ポップスの名盤で、
ミリオンセラーになった「A LONG VACATION」というアルバムに収められ
アルバムの発売と同時にシングルカットされ、ヒットした曲です。
最近になってもCMソングに使われたりするので、聞いたことがある方も多いと思います。
当時私は中学生だったので、ドはまりしたアルバムです。
さて、この曲、何気なく聞いていると単なる恋愛ソングのように聞こえるのですが、
ちょっと悲しい裏話があります。
作詞は松田聖子さんの「風立ちぬ」や「赤いスートピー」、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」などを手掛けた松本隆さんです。
松本隆さんと言えば、日本のロックの創成期の伝説のバンドで細野晴臣さん、大瀧詠一さん、鈴木茂さんと組んだはっぴいえんどのメンバーとしても有名ですよね。
つまり大瀧詠一さんとは同じバンドの盟友だったわけです。
大瀧さんは大ヒットした「A LONG VACATION」をつくるにあたり、
今回はヒットを狙いたいからと古くからの盟友、松本隆さんに作詞をお願いします。
昔馴染みからの依頼ですから松本隆さんはふたつ返事で快く受けたのですが、
その直後に松本隆さんの妹さんが心臓の病で急逝してしまいました。
最愛の妹を失った松本隆さんはとても作詞できる心理状態ではないからと、
大瀧さんに詫びを入れて依頼を断ろうとしたのですが、
大瀧さんは旧友のことをおもんばかって、
「俺のアルバムなんて発売日を伸ばせばいいだけだから、詩が書けるようになるまで待つよ。」
と答えたそうです。
その言葉の通り大瀧さんは松本さんの気持ちが回復するまで3ヶ月ほど待ち、
「A LONG VACATION」は8カ月ほど遅れて発売になりました。
こんな裏話があったことは私も知らなかったのですが、
この逸話を知ってあらためて「君は天然色」を聞いてみると、
歌詞にこめられた松本隆さんの妹さんへの想いが伝わってきて、涙が出ました。
♫
くちびるつんと尖らせて なにかたくらむ表情は
別れの気配をポケットに隠していたから
机の端のポラロイド 写真に話しかけてたら
過ぎ去った過去 しゃくだけど今より眩しい
想い出はモノクローム 色をつけてくれ
もう一度そばに来て はなやいでうるわしのColor Girl
どうですか?裏話を知ると全く違った曲に聞こえてきますね。
今は大瀧さんも亡くなられてしまいましたけど、友情っていいですよね。
ちなみに裏話をもうひとつ。
「君は天然色」のオリジナル曲のイントロはコードEで始まるのですが、
歌詞に入るとコードがDに変わります。
転調しているのですね。
これは理詰めの曲作りを得意とする大瀧さんのテクニックだと思っていたのですが、
実はそうではなく、
はっぴいえんどをやっていたころの声域で曲を作ってみたら、
サビのところの高音が出ないことに気づき、キーを一音下げたんだそうです。
こちらはあの大瀧詠一さんでもそういうことがあるのかと、クスッとするような逸話ですね。
ちなみにこの話を社内でしたら、ウチの若い女子スタッフは、
曲も知らなければ、大瀧詠一さんも知りませんでした。
なのですぐにYouTubeで曲を聞かせたら、「あ~、聞いたことあります」だって(笑)
ではまた!