キッチンは選ぶもの? ではありませんよ!
こんにちは。
今日は日曜日で仕事はお休みです。
で、ネットサーフィンをしていてちょっと気になった記事を見つけたのでちょこっとコメントを書いてみたくなりました。
その記事はキッチンの選び方を紹介した記事。
まず違和感を感じたのは、「キッチンを選ぶ」と定義していることです。
キッチンにはI型、L型、U型、II型、ペニンシュラ型、アイランド型などと形状があり、
それぞれについて導線や使用感のメリット、デメリットを解説されていました。
もちろん、出来上がったものの中から選ぶのであればこういう知識は大事かもしれませんが、
“既製品から選ぶ”ことしか選択肢がないなんて、あまりにも貧しい文化ではないですか。
なぜなら最近では、流通や製造技術の発達でありとあらゆるものが、
オーダーできたりカスタムメイドで作れるようになっているのですから。
スーツ屋を営む私の友人も、吊り下げの既製品ではなく、
オーダースーツやオーダーシャツに力を入れています。
しかも、クオリティは高く、お値段は安く、です。
ちなみにその友人のスーツ屋さんは大阪の吹田にあります。
http://olvo-bespoke.com/about.html
あ、話がそれましたが、
で、そのようにプロから勧められるとお客様は何を考えるかというと、
「私たちの暮らし方を考えると、◯◯型が一番合っているかな」
と考えると思うんですね。
これは、あてがわれた形状のキッチンに自分たちの暮らし方を少なからず合わせて行く、
もしくは近づけて生活して行くというわけです。
だから、ちょっとイレギュラーなことが起きると、
「やっぱりこの形じゃなくて、◯◯型の方が良かったかしら。なんだか使いづらいわね、このキッチン」
となるのではないでしょうか。
そもそも、メーカーさんも◯◯型という名称や分類ありきでキッチンを作ったわけではなく、
お客様のニーズに合わせて色々作ってみて、
その後にこれは◯◯型という名称を付けよう、分類しようとなったのではないでしょうか。
キッチンという家の中にあるパーツの一つを取り出すと、
このような◯◯型になるわけですが、
そもそも注文建築を売りにしている住宅メーカーや工務店さんが間取りをお客様と打ち合わせするときに、
「間取りには◯型、◯型、◯型などがありますが、どれになさいますか?」
と質問することはないですよね。
ご家族構成や、普段の暮らしぶりを一つ一つ丁寧に聞いたうえで、
そのご家族に最も合った間取りを死ぬほど試行錯誤して考え、
提案されるのではないでしょうか。
そのお客様にとっては一生に一度の家づくりであり、
我々住宅メーカーや工務店はそのお手伝いをするのだから、それくらいは当たり前。
さらにお引き渡しをした後も、一生のお付き合いですから!
という気概で皆さんお仕事をされていると思います。
なのに、キッチンは既製品の形状を並べてそれを解説し、
さて、どれにされますか?という流れにすごく違和感を感じてしまいました。
では、なぜこのようなことになるのでしょうか?
それは、きっとキッチンは既製品から選ぶものという考えが根底にあるからです。
そしてそうなってしまうのは、住宅メーカーや工務店さんが、
キッチンを設計して造ることができないからなのでしょう。
造れるけど面倒くさいから造らないという考え方は更に言語道断ですが(笑)
先日もあるインテリアコーディネーターの方とお話をしていて、
各メーカーのキッチンの違いは勿論説明できるけど、
それ以上のことはわからないですとおっしゃっていました。
私もオーダーキッチンという世界を知るまでは、キッチンは選ぶものと思っていました。
それも長〜い間。お恥ずかしい話ですが(笑)
しかし、知ってしまったのです。
キッチンも一からお客様の生活スタイルやご予算に合わせて造ることができることを。
そしてオーダーは決して安かろう、悪かろうではないことを。
むしろ、メーカー品の全てではありませんが、
メーカーのコストを重視した普及モデルのキッチンのほうが、よっぽど良くないことも。
導線を重視し、移動距離を極力抑えるならくの字に曲がったキッチンもあり。
スペースが大きく取れないなら真ん中に立つ人を囲うように配置するものあり、
逆にスペースを大きく取れるならシンク、加熱機器、ワークスペースを三つの島に分けるのもあり、
(笑、これはちょっとシャレですが)
高性能の食洗機を採用するなら食器棚に食洗機をビルトインしてしまうのもあり、
天板やワークトップの素材も、ステンレスか人工大理石かの二択ではなく、
もっと幅広い素材から選ぶのもあり。
とにかくキッチンは形も素材も注文建築の家のように自由なんです。
お客様と最前線で接する工務店にこそ、
そして注文建築を売りにされている工務店さん全てに、
もっと自由なキッチンを、
LDKや家全体のデザインの要になるキッチンを、
造れるようになって欲しいと思います。
あなたに発注されるお客様のためにも(^ ^)